イジワル王太子と政略結婚!?
『しーっ』

「え?」


言い合っている最中、突然シーナが人差し指を口に当てて黙り込んだ。


私も静かに耳をすましてみる。



「……歌?」


どこからか綺麗な音色が聞こえてくる。


フルートの音のような、声のような…不思議な音色。



『あぁ…どこからだろうな』


辺りを見回してみても、特に何も見当たらない。


私たちは顔を見合わせて、なんとなく小声で話す。



『たぶん向こうだ。行ってみよう』

「うん。…このリンゴどうする?」

『食べたかったら食べろ』

「…いらない…」


私はリンゴを木の脇に置いて、静かに音のする方へ歩きだした。


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