紳士的なLady*Another



午後からの部活に備えて、スポーツ飲料とタオルを準備しているところだった。
お昼御飯を食べ終え、剣ちゃんは道着に着替えに行き、鈴音ちゃんは武道場のモップ掛けを手伝ってくれていた。



乾いたタオルを1枚1枚たたんで、重たい水筒と一緒に運ぶ。
いつもなら剣道部の部長兼パシリの榊くんに水筒を押し付けているところだけど、今日は生徒会のミーティングがあるから居ない。
2リットルの水筒を2つ肩からぶら下げ、高く積んだカラフルなタオルを持ってのろのろと歩いていた。



……はぁ。
今日はやけに職員室近くが賑やかだ。
さっきから通り過ぎていく女子たち皆、キャアキャア言いながら職員室の方へと走っていく。
誰か来ているのかな。興味無いけど。


黄色い声と重さに鬱陶しさを感じ、足早に進もうとするも、なかなかスピードが上がらない。
何でこんな日に限って廊下にいっぱい人が居るんだろう。
ああもう、女子邪魔!!



ぶつけようのない苛々を抱えたまま、職員室前を過ぎる。
耳に入ったのは、「超イケメンの生徒会長だった人が来てる」という情報だけだった。本当にどうでもいい。


ぶつかってしかめ面をしてくる3年女子を睨み、「何の用があって今日来たの」と、そのイケメン生徒会長(だった)に心の中で罵詈雑言を浴びせる。





あー邪魔邪魔。鬱陶しい。
母校訪問とか、どれだけ高校時代にしがみついてるのかしら。馬鹿馬鹿しい。
何で榊くんも居ないの。生徒会のミーティングなんてどうせ雑談してるだけでしょ。
暑いし重いし五月蝿いし。
部室まで運んだらさっき先生の奥さんから貰った差し入れのアイス食べよう。よし!







「千波ちゃん!!」

「はぁ?!」




誰よこんな時に話し掛けてくる奴は……




う、わ…………。



最悪だ。


< 48 / 63 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop