のらねこ様、カレシ仕様

戸口に立つクロちゃん、泣きそうな顔。


「クロちゃん、私ならだいじょーぶ、だよ?」


だからそんな悲しい顔しないで。


勝手に飛び出した私も悪いんだし、クロちゃんが悪いんじゃないよ。

クロちゃんはちょっとためらった後、おずおずと中に入ってきた。



「っ・・・・」


そうっと伸ばされた手に反射的に飛びのいてしまった。


私、今・・・・

はっとして顔を上げ、心臓に鋭くイタミが奔る。



自分が切りつけられたみたいにイタイって顔。

今にも消えてしまうんじゃないかって脆く切ない表情。



待って。
今のは違うの・・・・


ううん。

違わない。



私、クロちゃんに怯えたんだ。
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