のらねこ様、カレシ仕様
部屋にふんわり漂い始めた美味しそうな香り
万里ちゃんが時計を見やって溜息を吐く。
「・・・ったく、黒川も帰って来ないし、私一体何しに来たのかしら・・・」
ぶつくさと文句を吐きつつ立ちあがった万里ちゃんの前に
コトンと湯気の上がった皿が置かれた。
わーい今日はデミグラスソースのたっぷり掛ったオムライスー♪
レタスも添えられ、彩りもバッチリ。
さすがカオちゃん。
じぃっと皿を見下ろしていた万里ちゃんは徐に薫を睨みつけた。
「ナニこれ。・・・私食べてくなんて言ってないでしょ。」
「じゃ、今から言え。」
威嚇気味の万里ちゃんに動じず薫は澄まし顔で返す。
「クロ帰って来ねぇから余った分。
アイツが帰って来ねぇのはオマエの所為だし、責任もって処理してけ。」
「っ・・・だったら。私、もう帰るし!黒川にあげなさいよっ!」
「時間に帰って来ねぇアイツが悪い。」
万里ちゃんってやっぱイイ子なんだろーな。
クロちゃんのゴハン、自分が取っちゃうことに気が引けるみたい。
そして我が自慢の弟は気遣い上手♪
本当はちゃんと万里ちゃんの為に作ったんだって、オネェチャンは知ってるよ。
オトコノコとオンナノコじゃ量違うしね。
でもそう言ったって素直じゃない万里ちゃんがはいそーですかって食べないと分かってる
から、業と余ったなんて言ったんだ。