歳の差レンアイ、似た者同士。
「秀介くんは、どうして医者になろうと思ったの?」

「さぁ…なんでだろうな…」

紗英の質問に戸惑う。

“親に言われて”なんてカッコ悪いと思ったから、それは言えなかった。

「いいよなーサエは」

「なんでよぉ?」

「だって、今からなら何にだってなれるだろ?医者も弁護士もフリーターも…」

オレに選択権はなかった。

親の敷いたレールの上を、何も考えずに進んできた。

このままいけば…

たぶん、いつかはあのご立派な病院の院長になって、グループをまとめる立場になる。

ずっと大学病院にはいられない。

「私はバカだから、その3つの中でなれるとしたらフリーターくらいだなぁ」

「そうか?」

「“先生”とはもともとの頭のデキが違うんですよーだっ」

「なんだその言い方。イラっとすんなぁ」

年下のくせに、大人をイラつかせる天才だな、コイツ。

その才能を生かせる職業につけばいいんじゃね?

たとえば…政治家とか!?

「じゃあね、仕事虫」

「仕事虫って…!」

紗英は笑って手を振った。

オレも振り返した。

かわいいなって思う。

ただ純粋に、何のメガネをも通さずにオレを見てくれるこの子が。

でも…ずっと一緒にはいられないんだ。
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