歳の差レンアイ、似た者同士。
道重は立ち上がって、ファンタの缶をゴミ箱に向かって投げた。

きれいな弧を描いて決まるフリースロー。


「伊崎は、自分で選んだんだろ?心臓外科に進むこと。なら、それでいいじゃん。お前の親父のためでもなんでもなく、自分のために医者をやったって」


缶の行方を見つめていた俺に、道重は言った。

まるで見透かされてるみたいに。

道重が立ち去って一人残された屋上で、俺はまだ缶の行方を見つめていた。

もう夜が近づいている。

そして、小一時間考えたあと、ケータイの通話ボタンを押した。


「…サエ、話したいことがあるんだ」


これは、終わりの合図。

もう恋愛ごっこはおしまいなんだ。

サエを幸せにすることなんてできない。
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