Nostalgicな祭りのあとで
一人残ったやまじいは花を思い浮かべ、いるはずのない人に呟いた。

「桜子。わしに出来ることは何かな。残された時間で、あの子らに何が残せるだろうか。」

桜の葉が馨り、揺れた。

目を閉じると今も蘇る。

笑うと白い頬にさす薄紅が、桜の花のようだった人。

何にもなかった自分に、人生の輝きを与えた人。

真っ直ぐで強く、しなやかに優しく・・なのに散るように逝ってしまった。

やまじいは頭をもたげた。

この山のあちこちに残る桜子の想い出。
笑い声が溢れた場所。

やまじいは桜子の名前を何度も何度も呼んだ。
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