Nostalgicな祭りのあとで
頼まれたわけでもなく、山を掃除する二人。
雨の日も寒い日も、今日みたいにうだるような真夏日にも。

無口で異端なやまじいを、町の連中は小馬鹿にしている。

陸にも理解できない。
どうしてそこまでするのか。
分からない。

考えているだけで、胸の中がザラザラするような気がした。

偽善者、そんな言葉が頭をよぎった時、陸の姿に気がついた大樹が「おはよ、日高君」と手を振った。

顔に血が上った。
何だか考えていることを見透かされたようで、バツが悪かった。

陸はふいっと目をそらし頭だけで挨拶を返すと、校門に駆け込んだ。
< 6 / 109 >

この作品をシェア

pagetop