Nostalgicな祭りのあとで
リストラになる前、守は農作物の微生物を研究していた。
そういえば以前、一度だけ初美に自分の仕事について話したことがあった。
何年も前のことなのに、よく覚えていたものだと思った。

この土地に帰ってきたのは、十数年ぶりだった。

田舎は嫌いだと言った妻と交わした約束。
今となっては、それを忠実に守ってきた自分が情けない。

この町に引っ越してくる前、初美と一つ上の青山先輩とで調査を始めた。

急に作物が枯れた。
益虫、生き物が消えた。
味が悪くなった・・など、初美以外の農家からも異常を訴える声が集まりだした。

守はサンプルを採取し、大学研究員の知人に器具を借りて分析した。

そこにあったのは、アッテハナラナイ有害な物質。

守は拠点を移して本格的に調査チームを組んだ。
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