ドラマチックスイートハート

「コウは、私のどこが好きなの?」









好きの理由?

そんなの聞いてどうするのか?








自分の好きな部分を言われ、優越感にでも浸るのか?


いや、そんな人ではない。










石垣は邪念を振り払い、素直に答えた。











「それは、誰に対しても優しいとこや、生きる強さを見たりしたとこかな。撮影でも思ったけど、あの俺に向けられたら元気な笑顔に心を奪われた」









それを聞いた天崎は、眉間にシワを寄せて少しつまらなそうな顔をした。










「やっぱり……。ねえ、コウ。コウが好きになったのって、私天崎優じゃなくて、七瀬由奈じゃない? 今言った事、全部由奈の事だよ」










……!!










それには、石垣もハッと気付いた。









確かにそれは、全部由奈のした事なのだから。










「由奈は……いや天崎は、俺に抱き締められた時、何か思わなかった? 少しでも一緒になってもいいかって……俺は天崎を抱き締めて、心から幸せを感じたんだ」










そう言うと、今度は険しい顔を見せた。


怒っている程ではないにしろ、厳しい目つきだ。










「演技は演技よ。それが役を演じると言う事! 私は感情移入を必要以上しない。その時だけ由奈の気持ちになって、終わりは切り替えなきゃいけない。辛いようだけど、それが私の生きる道だから」










天崎は石垣の横を通り過ぎ、公園の出口に向かった

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