ドラマチックスイートハート
「だってあんなに怒ってたのに……本気なの?」
痺れを切らした由奈は、コウの胸に飛び込んだ。
「うう……私の夢は知ってるでしょ? アナタと居る事って。プロポーズだって、女の子から言いたくないんだよ。でも言わなきゃ、コウは行っちゃうから……気持ちを汲んでよ」
由奈の温もり。
もう抱き締められないと思った暖かさ。
それに触れた時、気持ちが張っていたコウも壁が崩れ去った。
「由奈!!!!!」
本当にいいのとか、両親の事はどうするとか、聞くだけ野暮な話。
何を言っても、それでも一緒に居ると返してくれるのが目に見えている。
そのまま、2人はいつまでも抱き締め合っていた
いつまでも……
いつまでも……
そうする内に、海に朝日が登った。
綺麗な朝を、2人して浜辺で肩を寄せ合い見ていた。
由奈はコウの手を取り呟く。
「前のは捨てたんだから、早く買ってね婚約指輪★」
まさか、それを計算してペアリングを海に捨てたのか?
女と言うのは、演技も計算も出来るので、怖いものだとコウは軽く笑う。
「いいよ、2人で買いに行こう。ずっと幸せにするから、誓うよ」
「当然。何でも言う事聞くって言ったもん。ネ♪」
これからの生活は、うだつが上がらなそうだ。
でも、そんなのをずっと夢見ていたコウは、本当に心からの笑顔を見せるのであった……