ドラマチックスイートハート
数日後――
あるホールにて、大勢の男性が所狭しと椅子に座っていた。
これから何が行われるか分かっていないが、ドラマに出られると聞いて集まった、無名の新人達である。
その中に、まだドラマのいろはも知らない男の姿があった。
男の名は石垣康広(いしがきやすひろ)……
顔立ちはシュッとして男前であるが、外見の良さではここにいる他の男性達となんら大差はない。
特にオーラもなく、皆が皆ドングリの背比べのようなものであり、特質した者は石垣を含めいない。
パンパン!!
プロデューサーの手の叩く音によって、ざわめきは止まった。
「いいですか皆さん! 今から審査します!
羽場監督に失礼のない様にしてください」
そんな事言わずとも、みんな必死で自己アピールをするくらい、監督にはおべっかを使うだろう。
それこそ、失礼な事を言うハズのない場だが、模範的な開始を告げてのスタートとなった