まーくんとみーたん
先に着いたあたしは、コーヒーだけ先に頼んで、奥の席に座ってる。
 
あたしは、まーくんの彼女じゃないから、待ってるのなんて普通。
 
まーくんは時間にすこしばかり、ルーズだ。
 
というより、いつも誰かに捉まって、時間をくわされてるだけなんだけど。
 
まーくんは人受けがいいから。
 
だけど、それじゃ彼女は困っちゃうよっていつもあたしが注意する。
 
まぁ、まーくんの場合、重度のお人好しさんで、捉まると断れないから彼女さんのほうが妥協するしかないんだろうけど。
 
あたしは、まーくんのそーゆーとこ知ってるから、許してあげる。
 
それに、一人で啜るコーヒーは嫌いじゃない。
 
一人でコーヒーを啜りながら、店内を見回す。
 
前とは違うバイトさんが働いていて、手に持ったトレーがプルプル震えてる。
 
あー、あの子は新人バイトだな、とか。
 
きっと早番からずっと働いてんだな、とか。
 
下らないことばかり考える。
 
今はもう夕方だからね。
 
早番からだったら、そりゃ手も足もプルプルするよね。
 
少し揺れてるトレーの上のムースを片目に、自分のコーヒーの残量を確認する。
 
今はもう、四分の一くらい。
 
こりゃ、もう一杯必要かな、とか。
 
次は紅茶にしようかな、とか思って財布を覗く。
 
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