まーくんとみーたん
・・・まずい。
 
昨日、奮発してちょっと高い化粧品を買ったのを忘れてた。
 
朝に、金を下ろそうと思ってて、そのままだ。
 
財布の中には、帰りの電車賃と、124円。
 
ぎりぎり帰りの電車賃があるのに、ひとまず安心した。
 
でも、もう、何も食べれないし飲めないと思うと、少しヘコむ。
 
さっきも言ったけど、あたしは彼女じゃないから、まーくんにはおごられない。
 
というより、あたし自身が曲がったことが大嫌いで、おごるとかおごられるとか、そういった貸し借りが大嫌いなわけ。
 
自分で食事代くらい払えるっつーか
 
その、女らしい扱いにいまいち慣れないんだよね。
 
昔っから、男気質で、男女って言われ続けたから。
 
だから、あたしはなよい男が大っ嫌い。
 
女の自分より可愛い男なんて許せない。
 
もう、八つ当たりレベルだけどね。
 
それでも、許せないものは許せない。
 
問題はそこなんだ。
 
あたしは、なよい男が大っ嫌い。
 
うん、大っ嫌い。
 
窓から見えた、チェックシャツをスカート風に巻いた男を見て、一人で吐くそぶり。
 
男がスカートとか論外。
 
おぇっとか言いながら、財布を鞄に戻して顔を上げると、そこにはさっき見たばかりのチェックシャツ。
 
「おまたせ、みーたん。」
 
この、見た目超絶イケメン男。
 
新人バイトちゃんの目を釘付けにしてるこいつが、まーくん。
 
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