ななちゃん

K医師の章

K医師は手元の資料をつかみ取り、パソコンの上におくことにした。
恐らく、その資料をK医師は読んだことがあるのだろう。



世の中には、自分のことを、動物であると思い込んでしまう病気もある。
そう、一種の精神病だ。

あることにはある。


「先生、お疲れのようですね」
幾多の精神の病を見てきたK医師である。たいていのことには驚かないし、
驚けなくなっている。
だが、K医師もまた人間である。
疲れは存在していた。

「ああ、すまんがコーヒーを頼んでいいかね」

しっかりしなくては、
さて、どのように彼女に説明をすればいいだろうか。
看護師の入れた、薄いコーヒーを飲みながら、
K医師は思案した。
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