ななちゃん
「こんにちは」
診察室にやってきたのは、可愛らしい少女である。

「ああ、君か。すまんね」
アリスみたいなカチューシャをつけた少女である。


歩く度にリボンが揺れ、
ウサギみたいである。
「ええ、でもパソコンを打つ位しか出来ませんし」
K医師がすすめた椅子に彼女は腰をかける。

「いつもすまないね」
彼女には、学会の資料作りを頼んでいた。

「いえ。わたくし、居候ですから手伝いをしなさい。と、言われてますの」
彼女は、この病院の院長の養子であった。

カタカタとパソコンを打つ音が聞こえる。
ふと彼女がパソコンの上の資料に気づく。
だが、見ては悪いと思ったのだろう、視線をふいと、外す。

「気になるかね」
「あ、申し訳ありません」
「いや、気になるなら読んでも構わないよ」

興味があったのだろう。
彼女は、資料を読みはじめた。

「狼男ですか?」
目をくりっとK医師の方にに向け彼女は質問をした。
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