月luna~眠れる王子と最後のキスを・・・~

 私にはお父さんがいない・・・。


 いたことがない。



 前にどうしていないのかお母さんに聞いたとき、私が生まれる前に死んだと言われた・・・。

 だけど他には何も教えてくれなくて、私は自分のお父さんがどんな人なのか、何も知らない。


 写真すら見せてもらったことがない。


 小学校まではそれが嫌でよくお母さんと喧嘩していた。

 けど、中・高あがってく内に気にならなくなっていた。


 それは友達から聞くお父さんがあまり欲しいと思えるものではなかったからだ・・・。


 友達はお父さんが厳しいくてウザイ、自分のお父さんはキモイなどと言って母子家庭の私をうらやましがった。

 だからお父さんが欲しくないと思えるほどではなかったけど、お父さんがいないことは気にならなくなった。




 でも美香のお父さんは私が聞いてた“お父さん”とは違っていた・・・。



 私はにっこり笑うやさしそうな美香ちゃんのお父さんを見ながら、久しぶりに自分のお父さんがどんな人なのか気になった・・・。


< 69 / 110 >

この作品をシェア

pagetop