先生と生徒


「なら、何て入れる?」



「やっぱベタに名前でよくね?」



「だね♪あ、じゃあ…名前の前に、"love"って入れない?」



「んじゃ、それで♪」



バカップルみたいな事をしているのかも知れない。
でもこれが、この時間が幸せだった。




『ありがとうございましたー』


やる気のなさそうなチャラそうな店員に送り出せられ、店を出た。



その指には、キラリと光る指輪がある。


もちろん、"love kazuya"と彫られた指輪が。

和也の指には"love maki"と彫られた指輪が光る。


ベタだって何だっていい。

その気持ちが一番嬉しかったから…


外の光を浴び、空気を吸い、もう、思い残すことはないような、晴れ晴れとした顔立ちで、入場門へと足を運んだ。
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