王様の、言うとおり
「鞄は?」
「後で取りに戻る。」
……素直じゃねーなぁ。
鞄も持たずに出ていった菜月ちゃんを待っておくつもりなんだろう。
ふーん、と流しながらも煌に見えないように、笑う。
課題なんて、本当にたまにしかしないくせに。
さっさと帰ればいいのに。
言わないけれど、待っていてあげるそのさりげない優しさが乙女心をキュンとさせるのか。
……まぁ、菜月ちゃん相手じゃなければしない行動だろうけれど、な。
だけどな、煌。
ソレ、机の上に乗っけておいた方が良いと思う。
帰り支度された鞄を机の横の突起にかける煌を見て思う。