王様の、言うとおり
そう言って包帯を指差す。
手先は器用そうだし、上手に巻いてくれそう。
だけど……包帯を外せば手首が腫れて無い事を知られるし
湿布の変わりにガーゼが貼られている事が分かる。
嘘を言った事も。
ややこしくなる。
それに……何故か、触られたくない、と思った。
「良いよ。どうせこれから風呂入るから外すし。」
手首を引きながら言えば、そっか……と少し寂しそうに目を伏せた。
「――おい、お前ら!」
突然投げ掛けられた声に、ビクッと跳ねた藤田さんの体。
旅館、と言う落ち着いた雰囲気の中似合わない大声が響いて
俺はそっちを睨み付ける。
叫ぶな、馬鹿。
旅館のスリッパを床にすり付けるように音を鳴らしながら歩いてくる、そいつ。