王様の、言うとおり




「どんな感じって……これも昨日?」


「そう。」



母さんを止めようとして、ぶつけたやつ。



「ヤバイよ……これ…痛い?」

「痛い。」



「朝から黙って平然としてたなんて……信じらんない。俺なら絶対泣き叫ぶ!」


泣き叫ぶなんてそんな事、いくら痛くても俺は絶対にしない。

「何で早く行ってくれなかったんだよ!今言わなきゃずっと気付かなかった!」

頬を膨らませて不貞腐れる亮平。



いくつだよ。

今日1日を過ごした亮平が気付かなくて、菜月が気付くなんて。



それだけ俺を見てたのかも。



今日は菜月に俺から話し掛けないようにしてたから。



ふ、と笑いながら布団に寝転ぶと柔らかく背中を包んでくれた。





……疲れた。

付けっ放しのテレビの音量が気にならないくらい急にやってきた睡魔に目を閉じる。



「あぁっ!包帯巻き直したな!?」

意識を手放す前に、隣で亮平がそう言ったのが聞こえた。




【じゅうさん。
 彼女は意外な所に気付くんだ】


  近付けば嫌そうだし

    離れれば、
菜月は気にした視線を俺に送る


    言わないのは

   距離を置くのは



  知らなくても良い事を
   菜月が知って
  怖がらせたくないから










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