王様の、言うとおり
2人とも泳ぐつもりは無く、
私はキングに半ば無理やり連れて来られたので特にしたいことも……。
キングも海へ来る、ということ以外特に考えてなかったらしく。完全なる無計画。
やることが、ありません。
『……もういっか。このまま泳ぐ?』
「なっ!帰り、どうするの!」
やけくそ!?
なにかを決意したように海へと歩き始めたキングのパーカーを引っ掴んで止めます。
着替えもない私たちは泳げばずぶ濡れで、帰りのバスには乗れません。
『…………。』
「…………。」
『遊ぶか。』
立ち尽くしていましたが、
すっとそのまま砂浜に、座ったキング。
『山。』
一言だけ言うと、パーカーのフードを被って近くの砂をかき集め始めました。
子供だ。
こうしてフードを被ってもくもくと掘っていると、大きい子供だ。
意外と子供っぽいこともするんだなぁ…。
小さな山を作り上げていくのを見届けていると。
チラ、とこっちを見上げたキング。
無言ですが、手伝えってことでしょう。
手、汚れるなぁ。
そんなこと気にしてみたりもしますが、断れるはずもなく。