こんぺいとう【2】
「――――さん、サクラさんっ」
「っ、」
広がる視界、彼の声。
「いくら人がいないからって、爆睡しちゃダメでしょ」
呆れたように苦笑しながら、普通に、自然に、向かいに座る。
「…………」
「なに、寝ぼけてる?っあ!ちゃんと昨日の約束覚えてる?」
「……夢?」
「ん?」
きょとんと間抜けな顔をする彼。
とりあえずスマホの画面を指でタップして確認する。
「ちょっとサクラさん、俺の話聞いてる?」
日付、曜日、時間。
絡んだ糸を1本ずつ解していく。
そうか、全部夢だったんだ。
唐突に笑った私に、彼はいよいよ不機嫌で。
「ねぇ」
そんな彼の膨れっ面目掛けて、ずっと握りしめていたらしいケースを投げた。
「私、キミのこと好きらしい」
慌ててキャッチする彼に告げる。
「名前、教えてよ」
end.

