夏コイ★1ヶ月の特別な時間
「でもこの祠、ホントにあってるのかなぁ……。
祠っていったってこの島じゃいくつもありそうだし……。」
「まぁ、そう言われちゃうと何にも言い返せねぇけど。
この祠、何年も手付かずみたいだし。」
しゃがみこんだ爽太くんは、祠にかかった枯れ葉を払い落とす。
「なんかこう見てると、この祠寂しいよね。」
思わず口をついて出てしまった言葉。
まずっ……あたし今へんなこと言っちゃったかもっ。
「な、なんてね~、あはは」
「え?別に夏海変なこと言ってなくね?」
「え?」
じっと爽太くんの黒い目が合った。
「そうそう。美希もおんなじこと思ってたし。」
ニコッとかわいらしく笑顔を向ける美希ちゃん。
「誰の目もつかないようなところにポツンてあったら、この祠も寂しいよな。」
まるで祠に意思が宿ったように、周りの木々がカサカサと揺れる。
「あんたたち、こんなとこでなにやってんだい?」