夏コイ★1ヶ月の特別な時間
突然後ろから声をかけられて、ビクッとあたしたちは肩を揺らした。
恐る恐る振り返ると、そこに立っていたのは花おばあちゃんだった
「ばあさんかよ~。ったくびっくりさせんなよなぁ。」
ふぅ。と大きく息を吐き出す爽太くん。
まぁ気持ちはわからなくも無い。
「てか、花ばあちゃんこんなところで何やってんの?」
美希ちゃんが花おばあちゃんの手を引いて祠のそばに連れて行く。
「そりゃこっちのセリフだよ。
こんなところ島の人でも知ってるのは、あたしみたいな老いぼれだけだって言うのに。」
よっこいしょ、と背中にのせたかごをおろして座りこむ花おばあちゃん。
あれ……?
「花おばあちゃん……そのお花……。」
かごからちらりと見えたのは真っ白な花
「あぁ、この花ねぇ。きれいだろ?
久々にここの祠のことを思い出してねぇ。
今日はあたしの旦那の命日だから、いかなくちゃと思ってね。」
てことは……。
あたしは目を丸くさせる爽太くんと美希ちゃんをみた。
この祠は正真正銘、恋の願いが叶う祠なんだ……。