白銀の女神 紅の王Ⅱ
途端、ビクッと震えるエレナ。
「シルバ……?」
不安そうな声。
怯える銀色の瞳でさえ煽られ、その瞳に吸い寄せられるように距離を詰める。
縮まる距離に、エレナがギュッと目を瞑る。
それはきっと“怯え”だろう。
だが、止まらない――――
吐息を感じる程に距離を詰めたその時。
「キャンッ!」
一際大きな鳴き声を上げ、子犬が飛びついて来た。
そして…
ガブッ…―――――
腕に噛みつかれた。
「ニコッ!」
子犬の鳴き声に目を開いたエレナが、焦った様子で子犬の名を呼ぶが…
子犬はなかなか俺の腕から離れない。
どうやらコイツには嫌われたらしい。