四十階段物語



「ありがと」


サクラはぎゅっと、俺の手を両手で握った。


あたたかい・・・。


それはこの場に不釣り合いな、とても優しいあたたかさだった。




「行くぞ」




辛うじて出た言葉は、我ながらそっけないと思った。




「うん」




俺は不覚にも顔が赤くなったのが分かった。







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