四十階段物語






あまりにビックリして、声が出なかった。


そいつは暗闇に映える白い着物を引きずりながら、俺に近づいてくる。


ヌメヌメ・・・と気持ち悪い音が静寂を包む。




「く、来るなっ・・・」




思わず後ずさる。

俺の足に、何かが当たった。


声にならない悲鳴を喉に詰まらせ、ゆっくりとそれを見た。



鉄の棒だった。





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