いぢわる兄は同級生







確か、昨日ママがアイス買ってきたって言ってたはず。



足早に階段を降りてリビングに向かうと、出掛けているのかママとパパの姿はなく。




リビングには、開いた窓からせわしなく蝉の声だけが響いていた。




キッチンの冷蔵庫の前に立って、ゆっくりと冷凍室を開けると、一気にヒンヤリとした涼しい空気が足元を抜けていく。





「はひゅー‥‥‥気持ちいい‥‥」



中を見ると、確かにまだ開けてないアイスバーの箱があって、その中からバニラ味を取ると、静かに冷凍室を閉める。



袋からアイスを出すと、待ちきれずにシャリッと一口だけかじる。



濃厚なバニラの味が、口の中でゆっくりと溶けて広がっていく。



暑い日に食べるアイスの味は格別だと思いながらも、リビングを出ようと扉に手をかけると。





ガチャッ。







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