LOVE*PANIC




長く掛かるだろう、と危惧していたレコーディングは、意外にもあっさりと終わった。


曲自体難しいメロディだし、レコーディングスタッフもかなりの気合いを入れていた。


一歌はリテイクの嵐になることを予想していた。


だが、最初から、自分でも納得の出来る歌声を出せたのだ。


きっと、何年も歌ってきた中で、一番いい歌声だ。


気持ちを入れ替えるだけで、これ程までに差が出るとは、一歌自身思ってはいなかった。


レコーディングに立ち会った柴田も笹原も、納得のいく出来になった。


何より、一歌自身が一番満足する出来だった。


後は、ドラマのオンエアを待つだけの状態だ。


その間にも、ジャケットやPVの撮影はあるが、取り敢えず山場は越えていた。


一歌の中の、修二への恋心は簡単には消えそうもなかったが、強く前を向いていける。


一歌はそう強く確信していた。




これから、全てが始まるのだ。






< 101 / 109 >

この作品をシェア

pagetop