LOVE*PANIC
そんなこと、という言葉が出そうになったが、辛うじて止めた。
そんなこと、に続く言葉は「ない」だ。
そんなこと、ない。
ということはつまり……と、一歌の頭の中は一気に結び付く。
一歌はそれに気付くと、顔を赤く染めた。
そんなこと、ない、ということは……。
一歌は赤くなった顔が修二に見えないように、顔を伏せた。
どうせ、暗がりなので見えないとは思うが念のためだった。
「それに、もうその必要もないし」
修二の言葉に、一歌ははっと顔を上げた。
「だから、もう危惧しなくていいよ。主題歌の話だけ考えてて」
修二は珍しく、本心から笑っているような笑顔を一歌に向けた。
「何で、ですか?」
一歌は手が震えるのを感じた。
間違いなく、ショックを受けていた。
今までずっと、それを望んでいたはずなのに、ショックを受けているのだ。
「しつこく言ってたのに急に変えるから、ま、驚くだろうけど。
いっちゃんにしてみたら、その方がいいんじゃん?」
一歌は上手く言葉が出てこなかった。
そして、目の前が白くなる。
いつから自分は……。
「今日誘ったのは、これを言う為。嘘ついたのは謝るよ」
そんなことを謝って欲しいんじゃない、と言いたかったが、声が出なかった。
「さ、人も増えてきたから帰ろ」
修二の言葉で、一歌は辺りに目を向けた。
すると、時間が遅くなってきた為か、カップルが増えている。
「……はい」
恋愛をしよう、という提案がなくなった今、自分と一緒のところを見られるのは、修二にとって、デメリットしかない。