LOVE*PANIC
「あの……」
何か言わなくては、と一歌が口を開いたその時、
「じゃあさ」
一歌の言葉を遮るように、修二が声を出した。
「気晴らしにドライブしない?」
「はい?」
気が動転していたせいか、一歌は修二の言葉が上手く理解出来なかった。
「たがら、ドライブ。
気分転換したら、書けるかもしれないじゃん」
修二の話に、一歌は鼓動が速くなるのを感じた。
「あの、仕事は……?」
修二は既にドラマの撮影に入っているはずで、一歌をドライブに連れていく余裕なんてないだろう。
「今日、オフだから」
修二が心配しなくていい、と言わんばかりにそう言った。
「じゃ、今から迎えに行くから」
修二が電話を切るなり、一歌は携帯電話を放るようして、急いで着替えやらメイクやらを始めた。
服は派手過ぎず、地味過ぎないものを選び、メイクもあまり濃くならないようにした。
何となく、修二の好みは派手過ぎないものだと思ったのだ。
髪にアイロンをかけ終わると同時に、携帯電話が着信を告げた。
表示には修二の名前。
一歌は慌てて通話ボタンを押し、携帯電話を耳に押し当てた。
「近くのコンビニの前」
修二はそれだけ言って、電話を切った。
一歌は急いで、マンションを後にした。