ハッピーエンド
鼻を刺すような刺激がした瞬間に意識が飛んだ。

目が覚めた今、後頭部に残る痺れにも似た疼痛を考えれば何か薬品をかがされたらしい。

徐々に眠くなるというような代物ではなく、まさにテレビのスイッチを消したかのような昏倒だった。

どれほどの時間が経過したのか、そして此処はどこなのか?

数多くの問い掛けを拒絶したかのように仲埜はぼんやりと宙を見つめた。

42才になる今日まで仲埜は平穏に暮らしてきたつもりだ、

少なくとも誰かに恨まれるといった覚えは無い。

仲埜は2浪の末、何とか潜り込んだ東北の医大を出た後、数年の研修を終え故郷の和歌山に戻った。



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