ハッピーエンド
銀行員や投資を扱う者、寄付を募る怪しげな団体、数多くのハイエナが彼女に取り入ろうと必死になるのも当然であるが、当の栄子はその殆どを田中に託していた。

今、田中が扱う栄子名義の金融商品は10数億にものぼる。高校しか出ていない田中は大卒のエリート達を部下にする事と引き換えに栄子の半奴隷と化していた。

5千万の証書を大切にカバンに入れながら昨夜の痴態を思い出すだけで自然と自虐的な笑みが広がる。
栄子にはサディスティックな趣味もあり、田中は男としてのプライドも何もかも捨てなければならなかった。

こうやって商品の期日が来るたびに栄子の家に呼び出される。彼女は決して自分から銀行に来るような事はなかった。巧妙に日付をずらされたおかげで満期日はほぼ毎月のようにやってくる。


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