月物語2 ~始まりの詩にのせて~
「乗馬には?」
礼の足場を作りながら、張湯が言った。
礼は首を振る。
練習などできる状況になかった。
とにかく今は、やるしかないのだ。
何とか馬には跨がれた。
すでに二人は乗っている。
「私が馬を引きます。
できるだけ馬に刺激を与えないように。」
張湯が馬に飛び乗ると、四頭の馬は駈け出した。
「いたぞ!」
城壁の上で掛け声が上がる。
―まずい。
近くに騎馬はいなかったようで、歩兵が走ってくるのが見えた。