月物語2 ~始まりの詩にのせて~
元血死軍にいた兄だから、血死軍独特の刺し傷を残していた。
獅子達は、兄に逃げられないよう、詳細を漏らさないようにしていた。
まだ、誰も蒙御史大夫を疑っていない、と示すためだ。
父と兄との間に何があったのか、知る術はない。
今回の事件は、闇に消えたことが多すぎた。
獅子は、それを突きとめようとしているようだ。
張湯のことは疑っていないらしく、張湯が捕まってから起きたことを殆ど話してくれた。
祝融様と一緒に牢に放り込まれていたのだから、疑われていないのかもしれないが、お互い探るようなことはしなかった。
拷問も形だけで、獅子は外の話をし出した。