狂愛

「ごめん、つい見かけて声かけたくなって」


「…うん」



痛い沈黙。

私達の間には二度とあの甘い恋のときめきは起きないだろう。



「ちょっとだけ話したいんだけど、いい?」



おどおどする彼。


もしかして、自白してくれる気になったのか…。

いつまでも逃げ続けられるものじゃない。

それなら、今ここで決着をつけよう。


そう思って、私はなるべく人の多い喫茶店に俊と入った。

だが席に着き、飲み物が来るまで俊は話そうとしない。

アイスコーヒーを一口のみ、意を決したのかようやく口を開けた。



「俺…ずっと美月に謝ろうと思ってたんだ」



ぽつりぽつりと、でも一言一言はっきりと切り出し始める。



< 29 / 42 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop