モノクローム
がしゃん。と意外にも大きな音を立てて、テーブルは椅子に当たった。
その音に男は少しビクついて背筋を伸ばしたが、何事も無かったように青白い画面を静かに閉じた。
それからすぐさまポケットに手を入れ、振り返る。
相変わらずフードは被られたままで顔の大半は暗く、その表情は見えない。
だが、口元だけははっきりと見えていた。
思わず私は後ずさりする。
でも、行き場なんてどこにもない。
それを知ってか知らずか男は、にっこりと笑みを作ってポケットからナイフを出して、私に向かい振りかざした。
結局、行き着く先は同じなんだ。
切り刻まれて、腐敗して土にも還らないまま干からびて行く。
確実な死を前に、人は無力を感じる事すら出来ないのだろうか…
「ホントに殺す訳ないじゃん。ここ日本だよ?」
鼻で笑いながら、男はナイフの刃先を手のひらで何度も押して見せる。
私は一気に腑抜けて、こめかみの辺りがズキズキと病みだした。
必死に声を出そうとしても、上手く言葉にならず口元はガタガタと震える。
次第に歪んで行く目の前で、男はフードを上げ、顔を露わにした。
その音に男は少しビクついて背筋を伸ばしたが、何事も無かったように青白い画面を静かに閉じた。
それからすぐさまポケットに手を入れ、振り返る。
相変わらずフードは被られたままで顔の大半は暗く、その表情は見えない。
だが、口元だけははっきりと見えていた。
思わず私は後ずさりする。
でも、行き場なんてどこにもない。
それを知ってか知らずか男は、にっこりと笑みを作ってポケットからナイフを出して、私に向かい振りかざした。
結局、行き着く先は同じなんだ。
切り刻まれて、腐敗して土にも還らないまま干からびて行く。
確実な死を前に、人は無力を感じる事すら出来ないのだろうか…
「ホントに殺す訳ないじゃん。ここ日本だよ?」
鼻で笑いながら、男はナイフの刃先を手のひらで何度も押して見せる。
私は一気に腑抜けて、こめかみの辺りがズキズキと病みだした。
必死に声を出そうとしても、上手く言葉にならず口元はガタガタと震える。
次第に歪んで行く目の前で、男はフードを上げ、顔を露わにした。