【ほのB】人間の本質は愛なんじゃないかな?
「新堂先輩、今日はお手合わせ、宜しく願いします!」
俺は鏡の前に進み出ると、大きく一つ礼をした。
「おう、蜷川、こっちこそ、お手柔らかにな。
何せ、就活で練習もままならん」
俺達二人はピスト(試合場)に入るとお互いに声を掛け合った。
「ラッサンブレ・サリュー(気をつけ、礼)」
「アンガルド(構え)」
マスクを着用し、スタートラインに前足爪先をつけて構える。
先輩の構えは美しい。
「プレ?(用意はいいか)」
先輩の真っ直ぐな声が響いた。
「ウィ(はい)」
「ファンデブー(突け)」
「クードロア(真っ直ぐに突け)」
剣先をかわして、真っ直ぐに突く。先輩の身体がしなやかに伸びた。
「リポステ(突き返せ)」
「バッテ(剣を打て)」
先輩の指示に従って、体制を変える。
俺は先輩の美しい身のこなしに魅了されていた。
その真っ直ぐに伸びた剣に打たれたい……
瞬間、頭の中に響いた不思議な感覚。
嗚呼……