【ほのB】人間の本質は愛なんじゃないかな?


「新堂先輩、今日はお手合わせ、宜しく願いします!」


俺は鏡の前に進み出ると、大きく一つ礼をした。


「おう、蜷川、こっちこそ、お手柔らかにな。

何せ、就活で練習もままならん」


俺達二人はピスト(試合場)に入るとお互いに声を掛け合った。


「ラッサンブレ・サリュー(気をつけ、礼)」

「アンガルド(構え)」


マスクを着用し、スタートラインに前足爪先をつけて構える。
先輩の構えは美しい。


「プレ?(用意はいいか)」

先輩の真っ直ぐな声が響いた。

「ウィ(はい)」

「ファンデブー(突け)」

「クードロア(真っ直ぐに突け)」

剣先をかわして、真っ直ぐに突く。先輩の身体がしなやかに伸びた。

「リポステ(突き返せ)」

「バッテ(剣を打て)」

先輩の指示に従って、体制を変える。
俺は先輩の美しい身のこなしに魅了されていた。



その真っ直ぐに伸びた剣に打たれたい……



瞬間、頭の中に響いた不思議な感覚。

嗚呼……

< 22 / 75 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop