恋華(れんげ)
「この後、“筆記試験”があります」
「え…!筆記試験…ですか?」
「聞いていませんでしたか?」
「はい…」
「簡単な一般常識、それに数学と適正診断のテストです。適性テストはともかく、他のテストは必ずしも時間内に全部解く必要はありませんから、やってみてください」
「はい、分かりました…」
あたしは言われるまま、静まり返った殺風景な部屋の中でひとり筆記試験を受けた。
数学のテストの紙面には連立方程式や図形の面積を求める問題なんかがいっぱい並んでいて、あたしは解答欄の自分の解答を何度も何度も書き直した。
「ピピピピッ!ピピピピッ!」
まだ全部の解答ができていないのに、けたたましいアラームの音が鳴り響いた。
するとメガネをかけた、いかにも理系っぽい雰囲気の若い男がドアを開けて入ってきて、アラームを止めて無愛想に言った、
「時間です。解答用紙を回収します」