裸足のシンデレラ
「わざとだし。」

「はぁ!?」

「わざと近付けてるって言ったらどうする?」

「離れるっ!!」

「…ったく即答かよ。ま、いいけど。」

「わぁっ…。」


そのまま真っすぐと立たせてくれる瞬。
…あれ?ちょっとまた…不機嫌?


「瞬…?なんか怒って…る?」

「こりゃー長期戦になりそーだなって思って。」

「へ?」

「裸足のシンデレラ相手だと、何年かかるか分かんねぇなー…マジで。」

「なっ…!!」

「帰るぞー真姫。後ろ乗れ。」

「…うっ…うん。」


…行きとは違う気まずさとか緊張とか良く分からない気持ちがあたしの中で渦巻く。


「ちゃんと掴まれよ。遠慮すんな。落ちんぞ?つーか落とすぞ?」

「安全運転にしてよ!!」

「…じょーだん。落とさねぇよ。だからしっかり掴まっとけ。」

「…うん。」


あたしは瞬の背中にぎゅっと抱きついた。



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