その声に顔をあげると、目の前にはカズが立っていた

でも、隣にルナはいない


「ルナは?」

「え?…なんで?」

「ルナは?」




目を合わせもしないカズを、俺は壁にたたきつけた




「返せよ。ルナを…返せよ。」

「…なんで」



「記憶がなくたって関係ない!
俺が覚えてる!俺がずっと覚えてる!
お前が知らない記憶だって、俺が全部覚えてる!」


「離せよ。」

カズは俺の手を払い、落とした鞄を拾う


「…お前が覚えてたって、意味ないんじゃねーの?」

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