言葉~ことのは~【短編】
空は白み始めていて、思っていたより寒さを感じなかった。

ただ、
吐く息は白く、
息を吸うたびに体の中に冷たい空気が入り込んでくる。


道路に積もっていた雪は昼間の暖かさによって溶け、その上を車が通り段差ができていたが、そのまま夜の寒さで凍ったために非常に歩きづらくなっていた。

氷のとがった感触は、薄いスニーカーから足へとすぐに伝わってくる。



自然に腕が腰を支える。


氷に足を取られないようにしっかりと踏みしめて歩いた。  

車の音は聞こえず、足元の氷が割れる音だけがするだけだ。  

外灯は点いていたが、静寂の中にいると一人取り残されたような気分になり、私は足の運びを速めた。

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