言葉~ことのは~【短編】
私の実家は昔から代々その土地に住んでいる名家で、家の庭に大きな蔵が建っていた。

しつけにたいへん厳しかった母や祖母は、私がなにか悪いことをするたびに蔵の中へ私を閉じ込めるのだ。



私はこの蔵が嫌いだった。

薄暗く湿っていて、カビのような匂いがするこの空間が、嫌で嫌で仕方がなかった。  


私は光が線になって床に写っているところにしゃがみこみ、母が戸を開けてくれるのをじっと待っていた。  

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