世界が終わる前に
顔から火が出るくらい熱くなるのが、嫌でもわかる。
恥ずかしい……。
「……変な女、」
そう低く呟いた彼の穏やかな声にふと俯いていた顔を持ち上げると、暗闇でよく見えなかった彼の顔が段々と鮮明にハッキリと見えてきて。
が、しかし…――その全貌を見た瞬間、私は思わず柄にもなく大声で叫んでいた。
「どうしたんですか!?」
「あ?」
突然、叫んだ私に、彼はあからさまに怪訝そうな視線を向けて眉をグッと潜めた。
「これ!どうしたんですか!?」
言いながら私は無意識に彼の顔についた痛々しい傷に手を伸ばしていた。
「……っ」
「あ、ごめんなさい!でも、て、手当てしなくちゃっ……」
痛そうに綺麗な顔を歪めた彼が何だか弱々しくて、慌てて鞄からハンカチを探し出して傷口に当てようとした。
けれど、
「んなもんいらねェよ。ただの掠り傷だ、すぐ治る」
彼へと伸ばした腕は、あっさり振り払われてしまった。