世界が終わる前に
でも、こんな事で傷を負った彼から引き下がる程、私は素直でバカな女じゃない。
「何言ってるんですか!来て下さい!」
「は?……おい、ちょっ、」
「いいから早く!」
強引な私に少しばかり抵抗を見せた彼の無防備な腕を掴むと、私は尚も無理矢理に彼を引っ張ってずんずんと歩き出した。
冷やかしの声を無視して、乱暴に人集りを掻き分ける。
でも、だって、傷だらけの人間を見過ごせない。
彼なら尚更に。
それによくよく見てみれば、彼の着ている学ランも所々汚れているではないか。
……ケンカをしたんだろうか?
そう思うと胸がギュッと締め付けられて痛みを帯びた。
私は、その痛みを振り切るようにより一層速度を早めた。