世界が終わる前に


え……もしかして嘘だったとか?

無理矢理の単なる人数集めに使った常套句だったとか!?

だとしたら私ってば本当に可哀相な女だよ!

やっぱり来なきゃよかった!


そう思ってやっぱり途中で抜けだそうかと考えた時、



「……なあ、」


「ひゃっ!」



いつの間にか目の前にいた彼が私をジッと見つめていて、すごく驚いた。



「な、何……ですか?」



真っ直ぐ突き刺さった視線に、思わず私から目を逸らしてしまった。


普段、見つめられる事に慣れてない所為もあるけれど、


彼の澄んだ瞳は、本当に吸い込まれそうなくらい綺麗でカッコよくて……胸がキュンと高鳴ってしまうのを抑えられない。



「……あんた慣れてないだろ、こういうの」



ぶっきらぼうな低い声につい視線を戻すと、彼はまだこちらを真っ直ぐ見つめていた。


更に心臓を揺さ振られつつ、突然によくわからないけど的を射たような台詞を吐いた彼に、私は思わず怪訝を孕んだ視線を向けてしまった。


< 60 / 202 >

この作品をシェア

pagetop