透明にんげん。



…………あぁ、やっぱり僕は透明な存在なのか。


彼女が見ていたのは僕じゃない。


僕の奥にいた人間だった。





……………………何故だ。



何故、僕は、透明なんだ。


なんだこれは。

痛い、冷たい、苦しい。

針が、氷が、糸が、

僕を縛る。


やめてくれ。

痛いじゃないか、冷たいじゃないか、苦しいじゃないか。




彼女の笑顔が、更に僕を縛る。



< 10 / 17 >

この作品をシェア

pagetop