ちぇりぃ★〜姉と弟の恋模様〜
───バンッ!!


アリエルを突き飛ばし、床の上に転がした。


「ヤ…。イタイ…」


「やめてやるよ」


「…え?」


「オマエにこれ以上つきまとわれるくらいならな、《チェリー》をやめてやるっつってんだよッ!」


アリエルは血が滲むのではないかと思う程強く唇を噛み締め。


ハーフの顔は整いすぎているが故に、冷たく般若のように歪んだ。


「…わたくしがこんなに想ってあげてるのに」


「オレはオマエのおもちゃでもコレクションでもねぇ。金で雇われた男でもねぇ。いつでも離れられる。《チェリー》をやめてな」


「イヤよっ!やめたら会えなくなっちゃう!アオイに会いたくてどんなに忙しくても、ファンに媚び売ってでも今日までやってきたのに!お願い、やめないで!ねぇ、アオイ!」


下着姿のままオレの足にしがみつくアリエルが哀れに思えた。


産まれた時から誰にでも可愛がられ、欲しくもない、ねだってもいない物までホイホイと何でも手に入り、我慢する事も、気持ちをコントロールする術も知らずに育てられた、アリエル。
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