ちぇりぃ★〜姉と弟の恋模様〜
───!?


果夜…。


ドアの向こうには、傘をさして立ち尽くしている果夜がいた。


「…ごめんなさい、聞こえちゃった…」


言うなり、身を翻してアパートの階段を駆け下りる果夜を、オレは追った。


「姉ちゃんっ!!」


走る果夜を追って、腕を掴んだ。


「放してッ!!」


「姉ちゃんッ!!」


拒む果夜を抱き締めた。


「あたし…。あたし…!」


「違うんだ、姉ちゃん。オレ達は今まで通り一緒にいられる。家を出る必要なんて、ないんだよッ」


「あたし、いらない子なのッ!」


「違うッ!!」


雨に濡れ、小さく震える果夜。


酷すぎる。


こんなタイミングでオレと果夜が血の繋がらない姉弟だとみんなが知っていた事、実の父親が今更迎えに来た事。


いっぺんに知ってしまうのは。


あまりに残酷だ。


泣きじゃくる果夜を力一杯抱き締めた。
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